国語の読解力と言葉選びを考える
難しい言葉を使うことと、深いことを言うことは別です。
国語科講師の視点から、読解力と言葉選びについて考えます。
最近、ある予備校のホームページで講師紹介を読んでいて、少し引っかかりました。
文章が、なんというか、壮大すぎる。
言いたいことは分かるのですが、少しメロドラマ風というか、大袈裟というか。
そして何より、分かりづらい。
講師紹介の文章の中に、
「敷衍(ふえん)」
のような、かなり硬い言葉が補足なしに乱発されているわけです。
もちろん、難しい言葉を知っていること自体は悪くありません。
この辺の単語が大学入試に出ることも、なくはないですし。
ただ、ホームページは読んでもらうための場所です。
そこで、多くの人がすぐにピンとこないような言葉を、何の補足もなく置く必要があるのか。
私はそこに少し疑問があります。
難しい言葉を使うことと、深いことを言うことは別
難しい言葉を使うことで、文章に重みが出る場合はあります。
ただ、それと深いことを言うことは別です。
内容としてはそこまで難しくないのに、言葉だけが難しい。
これは、読んでいる側からすると、ただ負荷が高いだけ、正直ストレスです。
たとえば「知悉(ちしつ)」という言葉があります。
意味としては「よく知っている」「詳しく知っている」ということです。
それなら、読み手に伝える文章では、
「受験数学をよく知っている」
「受験数学に精通している」
と書けばいいと思います。
「敷衍(ふえん)」も同じです。
「他の科目にも応用する」
「別の分野にも広げて考える」
と書けば、意味は十分に伝わります。
わざわざ難しく言う必要があるのか。
ここは考えたいところです。
ホームページは、読者に届いて初めて意味がある
自分の日記や創作なら、好きな言葉を使えばいいと思います。
でも、読み手がいる場合はどうでしょう?
相手に意味が伝わらない確率の高い言葉を補足なしに並べてしまう。
それはもう、深い文章というより、ただ届きにくい自己満足の文章です。
読者に伝えるための文章なら、読者に届いて初めて意味があります。
「わかりやすい」は本当に浅いのか
一方で、「わかりやすい説明」という言葉も少し難しいです。
わかりやすさを求めすぎると、内容が浅くなる。
簡単に理解した気になってしまう。
難しいものを、難しいまま受け止める力も必要。
それはそうです。
実際、入試の文章でも「わかりやすさ」について考えさせる文章はよく出ます。
たとえば、鷲田清一さんの『わかりやすいはわかりにくい』は、入試現代文で見かけることが多い印象があります。
「わかりやすい」「わかりにくい」とは何か。
簡単に分かった気になることの危うさは何か。
こういうテーマは、受験でもよく問われます。
だから、何でも簡単にすればいいとは思いません。
背景を全部飛ばして、表面だけをふわっと説明して、
「はい、分かりやすいでしょ」
というのは、たしかに違います。
それは、本当の意味での「わかりやすさ」ではありません。
でも、わかりにくい文章をありがたがる必要はない
ただし、だからといって、わかりにくい文章をありがたがる必要もありません。
ここを勘違いしてはいけないと思います。
難しい内容を、難しいまま読む力は必要です。
でも、簡単に言えることを、わざわざ難しく言う必要はありません。
もし難しい言葉を使うなら、補足すればいい。
難しい言葉を使うことが問題なのではありません。
本当に理解している人は、言葉を変えられる
私は、本当に理解している人ほど、相手に合わせて言葉を変えられると思っています。
小学生に説明するなら、小学生に伝わる言葉を使う。
中学生に説明するなら、中学生に伝わる言葉を使う。
相手によって言葉を変える。
これは、かなり高度な技術です。
逆に、難しい言葉をそのまま使う方が楽なこともあります。
自分が知っている言葉を、そのまま置けばいいからです。
でも、それで相手に伝わらないなら、説明としては弱いと思います。
「わかりやすい」は浅いのではありません。
相手に届くように、言葉を選び直すことです。
入試でも大事なのは、自分の言葉に直す力
国語の読解でも、これは大事です。
入試では、難しい文章が出ます。
抽象的な表現も出ます。
普段使わない言葉も出ます。
一読してすぐには分からない文章も出ます。
そこで必要なのは、難しい言葉をただありがたがることでも、頑張ってその言葉の意味を覚えることでもありません。
「この文章は何を言いたいのか、噛み砕くとどういうことか」
を考えることです。
難しい言葉を、自分の言葉に置き換えられること。
これも大事な読解力です。
つまり、わかりやすくする力は、読解力ともつながっています。
オーオンでは、中学生・高校生の定期テスト対策や受験指導を行っています。
国語では、文章をなんとなく読むのではなく、筆者が何を言いたいのか、難しい言葉を自分の言葉に直すとどうなるのかを確認しながら指導しています。
難しい文章を、ただ難しいまま終わらせるのではなく、生徒が自分の言葉で説明できるところまで持っていくことを大切にしています。
オンライン個別指導に加え、桶川市での対面個別指導にも対応しています。
国語の読解や、文章の読み方で悩んでいる方も、お気軽にご相談ください。
