【高校生物・生物基礎】ワクチンの仕組み|二次応答と記憶細胞をわかりやすく解説

高校生物・生物基礎・免疫
【高校生物・生物基礎】ワクチンの仕組み
二次応答と記憶細胞をわかりやすく解説

ワクチンを理解するポイントは、免疫応答・記憶細胞・二次応答。
「ワクチンを打っても感染することがある理由」まで整理します。

ワクチンとは何か

まずワクチンとは何かについて、結論から確認します。

ワクチン(vaccine)=病原体に対する防衛力をあらかじめ装備しておくためのもの

では、どのような仕組みで防衛力の装備ができるのかについて解説していきます。

免疫の確認

ワクチンの仕組みを理解するには、まず免疫応答を簡単に確認しておく必要があります。

免疫=体に入ってきた異物を見分けて、排除しようとするはたらき

体内にウイルスや細菌など、本来はないものが入ってくると、体はそれを異物として認識します。

この、異物として認識されるものを抗原といいます。

抗原に対して特異的にはたらくタンパク質が抗体です。

抗体は、抗原に結合することで、病原体のはたらきを抑えたり、免疫細胞に処理されやすくしたりします。

一次応答と二次応答

初めてある抗原が体内に入ってきたとき、体はその病原体を認識し、抗体を作ります。

ただし、初めて出会った相手に対しては、抗体を作るまでに少し時間がかかります。

この初回の反応を一次応答といいます。

一方、一度出会った抗原に対しては、体の中に記憶細胞が残ります。

記憶細胞は、その抗原の特徴を覚えている細胞です。

同じ抗原がもう一度体内に入ってきたとき、記憶細胞がすばやく反応します。

その結果、一次応答よりも速く、かつ大量に抗体が作られます。

この2回目以降の反応を二次応答といいます。

一次応答と二次応答の違いを説明する図
一次応答と二次応答の流れ

この二次応答を利用するのが、ワクチンです。

ワクチンは二次応答を起こしやすくする

ワクチンは、病原体の特徴をあらかじめ体に覚えさせるために使われます。

本物の病原体に感染する前に、病原体そのものや、その一部、またはその情報を体に入れます。

すると、体はそれを抗原として認識し、免疫応答を起こします。

その結果、記憶細胞が作られます。

その後、本物の病原体が体内に入ってきたとき、記憶細胞がすばやく反応します。

ワクチン接種から記憶細胞形成と二次応答までの流れを説明する図
ワクチン接種から二次応答までの流れ

泥棒の例で考えるワクチンの仕組み

泥棒の例で考えると、少しイメージしやすくなります。

一度、家に泥棒が入ったとしましょう。これが一次応答です。

運よく、このときは何も奪われずに済みました。

でもこのとき、「この家には泥棒が入る可能性がある」と分かりました。

そこで、玄関にアラームをつけたり、ALSOKに加入したりする。これが免疫記憶のイメージです。

これで、次に同じ泥棒が来たとき、前よりも早く気づける。これが二次応答です。

ワクチンは、本物の病原体が来る前に、体に相手の特徴を覚えさせておくものです。

そして、次に似た相手が入ってきたときに、免疫がすばやく反応できるようにする。

これがワクチンの基本です。

ワクチンを打っても感染することがある理由

ちなみに、ワクチンについては、誤解されやすい点があります。

それは、ワクチンを打てば、病原体が体内に入ってこなくなるというイメージです。

ここまでの説明で分かるように、ワクチンは病原体が体内に入ること自体を防ぐものではありません。

ワクチンを打っていても、病原体は体内に入ります。普通に。

ただし、ワクチンによって記憶細胞ができていれば、病原体が入ってきたあとに免疫がすばやく反応できます。

その結果、病原体が増える前に抑えられることがあります。

これによって感染が成立しにくくなったり、症状を和らげたりできます。

※「感染」とは、病原体が体内に侵入して増殖することです。侵入したことを感染と呼ぶわけではありません。

また、症状が出たとしても、ワクチンを打っていない場合より軽く済んだり、重症化しにくくなったりすることがあります。

ワクチンは「絶対に感染しないようにするもの」ではありません。

病原体が入ってきたときに、体が早く対応できるようにするものです。

つまり、「ワクチンを打ったのにインフルになったじゃないか」という指摘は、ワクチンの仕組みを考えると少しズレているわけです。

ワクチンの種類

ワクチンにはいくつかの種類があります。

高校生物では細かく覚える必要はありませんが、面白いので軽く紹介しておきます。

生ワクチン

生ワクチンは、病原性を弱めた病原体を使うワクチンです。

ただし、元気な病原体をそのまま入れてしまうと、入れられた側も大ダメージです。

そこで、病原体を事前にボコボコにしておきます。これが弱毒生ワクチンです。

とはいえ、生きている病原体なので、体の中である程度増えます。

そのおかげで、強い免疫がつきやすいです。

不活化ワクチン

不活化ワクチンは、病原体を殺して感染力をなくしてから使うワクチンです。

死んでいるので、病原体は体内で増えません。

そのため、安全性は高いですが、免疫を強くつけるために複数回接種が必要になることもあります。

mRNAワクチン

mRNAワクチンは、病原体そのものではなく、病原体の情報を体に入れるワクチンです。

体内で病原体の一部にあたるタンパク質が作られ、それを抗原として免疫が反応します。

新型コロナウイルスのワクチンでよく知られるようになりました。

まとめ

今回のポイント
  • ワクチンは、病原体に対する防衛力をあらかじめ装備しておくためのもの
  • ワクチンの理解には、一次応答、二次応答、記憶細胞が重要
  • ワクチンは、病原体を絶対に体内に入れないものではない
  • 病原体が入ってきたときに、免疫がすばやく反応できるように準備しておくもの

最低限の用語を覚えつつ、しっかりと仕組みを理解しておきましょう。

今回はコメント欄を開放しておくので、他にも扱ってほしい単元などがあればリクエストしてください。

オーオンの指導について

オーオンでは、中学生・高校生の定期テスト対策や受験指導を行っています。

生物では、用語をただ暗記するだけでなく、しくみを理解できるように説明することを大切にしています。

ワクチンや免疫のように、ニュースや日常生活ともつながる内容は、背景まで理解するとかなり面白くなります。

オンライン個別指導に加え、桶川市での対面個別指導にも対応しています。

生物の勉強でつまずいている方、用語暗記だけでなくしくみから理解したい方も、お気軽にご相談ください。

書き手紹介
野中 詩生|オーオン塾長

オンライン学習塾・個別指導塾オーオン代表。中学生・高校生の理科・生物を中心に、定期テスト対策から受験指導まで対応している。

自身も現在進行形でウイルスの研究に取り組んでいる。

ワクチンは嫌い。痛いから。痛くなければ、ウェルカム。

この記事を書いた人

ohon-nkmk