基質特異性・最適温度・最適pH・失活をわかりやすく解説
酵素とは、体内の化学反応を進みやすくするタンパク質です。
「酵素はタンパク質である」「酵素には基質特異性がある」という2つの軸から整理します。
酵素とは、体内の化学反応を進みやすくするタンパク質です。
酵素を理解する上で大事なのは、次の2つです。
ここから、詳しく、わかりやすく解説していきます。
酵素とは何か
酵素とは、体内の化学反応を促進する働きがあるタンパク質です。
体の中では、消化、呼吸、合成、分解など、さまざまな化学反応が起きています。
ただし、体内の反応は放っておけば何でも勝手に進むわけではありません。
そのため、体内には酵素が存在し、反応が進むのを助けます。
このように、反応を進みやすくする物質を触媒といいます。
酵素はタンパク質である
酵素を理解するうえで、まず押さえたいのは、酵素はタンパク質であるという点です。
タンパク質は、決まった立体構造をとることで、特定のはたらきをします。つまり、形がとても重要です。
もちろん、酵素にも、酵素ごとに特定の形があります。
その形があるから、特定の物質と結びつき、反応を進めることができます。
この「形が大事」という点から、失活、最適温度、最適pH、基質特異性までつながります。
酵素の失活とは何か
酵素はタンパク質なので、形が変わるとはたらきを失います。
このイメージは、卵で考えると分かりやすいです。
卵の白身は、加熱すると透明な状態から白く固まります。
これは、卵白に含まれるタンパク質の形が熱によって変わるからです。
一度白く固まった卵白は、冷ましても元の透明な状態には戻りませんね。
酵素も同様で、温度が高すぎると、酵素の立体構造が変わります。
そして、変わってしまえば、元に戻ることはできません。
その結果、酵素ははたらきを失います。
これが酵素の失活です。
最適温度とは何か
酵素には、最もよくはたらく温度があります。
温度が低いと、分子の動きが小さいため、反応は進みにくくなります。
温度が上がると、分子の動きが活発になり、酵素反応も進みやすくなります。
しかし、温度が高すぎると酵素は失活します。
酵素はタンパク質だからです。
つまり、酵素は温度を上げれば上げるほどよくはたらくわけではありません。
反応が進みやすくなる温度には限界があり、そこを超えると酵素の形が変わってしまいます。
そのため、酵素には最もよくはたらく温度があります。
これが最適温度です。
ヒトの体内ではたらく酵素の最適温度は、体温に近い35℃〜37℃あたりになることが多いです。
酵素は、その生物が普段はたらかせている環境に合った温度でよくはたらきます。
最適pHとは何か
酵素には、最もよくはたらくpHもあります。
酵素はタンパク質なので、pHによっても形や性質が変わります。
pHが合わないと、酵素はうまくはたらけません。
そのため、酵素には最適pHがあります。
ここで大事なのは、酵素ははたらく場所に合った性質をもっているということです。
たとえば、胃の中は酸性なので、酸性の環境ではたらく酵素があります。
小腸では、胃とは違うpHの環境ではたらく酵素があります。
酵素は、どこでも同じようにはたらくわけではありません。
はたらく場所に合った条件で、よくはたらくようになっています。
酵素がはたらきかける相手を基質という
酵素がはたらきかける相手を、基質といいます。
たとえば、ある物質を分解する酵素があるとします。
このとき、その酵素によって分解される物質が基質です。
酵素と基質は、反応の途中で一時的に結合します。
このときできるものを、酵素-基質複合体といいます。
反応が終わると、基質は生成物になり、酵素から離れます。
酵素はそのまま残り、また次の基質にはたらくことができます。
基質特異性とは何か
酵素は、どんな物質にも適当にはたらくわけではありません。
酵素ごとに、はたらく相手が決まっています。
この理由も、酵素の形にあります。
酵素には、基質が結合する部分があります。
この部分を活性部位といいます。
反応は、基質が酵素の活性部位にスッポリとはまることで進みます。
形が合わない物質は、酵素の活性部位にうまくはまることができません。
基質が鍵。酵素の活性部位が鍵穴。
鍵穴に合う鍵だけがはまるように、酵素にも、はたらける相手が決まっています。
これが基質特異性です。
酵素と基質特異性のまとめ
- 酵素は、体内の化学反応を触媒するタンパク質
- 酵素はタンパク質なので、形が大事
- 高温や合わないpHによって形が変わると、酵素は失活する
- 酵素には、はたらきやすい温度とpHがある
- それが、最適温度、最適pH
- 酵素がはたらきかける相手を基質という
- 酵素には活性部位があり、その形に合う基質だけが結合できる
- 酵素が特定の基質にだけはたらく性質を、基質特異性という
酵素の単元は、用語を1つずつバラバラに覚えるより、「酵素はタンパク質で、形が大事」という軸から整理すると理解しやすくなります。
オーオンでは、高校生物・生物基礎の内容も、用語を丸暗記するだけでなく、仕組みのつながりを意識して指導しています。
酵素の単元では、基質特異性、活性部位、最適温度、最適pH、失活を別々に覚えるのではなく、「酵素はタンパク質であり、形が大事」という流れで整理すると理解しやすくなります。
オンライン個別指導でも、図や板書を使いながら、生徒の理解度に合わせて説明しています。
高校生物・生物基礎でつまずいている方は、お気軽にご相談ください。
